2025年改正でここが変わった!on the spot取引の実務ポイントを完全解説
2025年改正により、on the spot取引のルールが大幅に整理・明確化されました。このガイドは、駐在1年目の方や法令初心者の方でも理解できるよう、分かりやすい表現をめざしています。本章では、関税法第35条・第47a条(48/2024/QH15、167/2025/ND-CP)に基づく新ルールを分かりやすく解説します。
🔹 on the spot取引の「新」定義(関税法第47a条)

on the spot取引とは、「外国事業者との契約(販売、加工、リース、借用の契約)に基づき、ベトナム企業と外国事業者との間で、ベトナム国内で引渡し・受領される取引」です。主な条件は以下の通りです。
注目すべきは、新法において「ベトナム国内に存在しない」の条件が削除され、従来政令で規定されていた「外国事業者はベトナムに事務所や拠点などのプレゼンスがないこと」という条件が撤廃されました。
- 外国事業者が関与すること
- 外国事業者の契約や指示に基づいてベトナム国内企業間で貨物の引渡し・受取りが行われること
- 関税手続・税関監督が義務付けられること
項目 | 従来(旧法・政令ベース) | 2025年改正後(新法) |
---|---|---|
外国事業者の条件 | 「外国事業者はベトナム国内に存在しないこと(例:事務所・拠点・支店等がないこと)」が必要(政令で規定) | この条件は削除。外国事業者がベトナム国内にプレゼンスを持つかどうかは問わない。 |
on the spot取引の定義 | 外国事業者との契約に基づき、ベトナム国内で引渡し・受領される取引。ただし、外国事業者はベトナムにプレゼンスを持たないこと。 | 外国事業者との契約に基づき、ベトナム国内で引渡し・受領される取引(プレゼンスの有無は不問)。 |
プレゼンスの具体例 | プレゼンスとは、事務所・支店・代表事務所など。 | プレゼンスの有無は定義や条件として不要。 |
🔹 対象取引のパターン(関税法第35条、167/2025/ND-CP 第1条)
- ベトナムで加工された貨物が、外国事業者の指示でベトナム国内の他社へ販売される取引
- 国内企業と保税区・加工企業間の売買
- 外国事業者が指定し、国内企業間で貨物を引き渡す取引
🔹 税関手続の流れ(167/2025/ND-CP 第1条)
- 引渡し前に通関手続 → 税関監督 → 引渡し・受取り
- 引渡し後に通関手続 → 税関監督 → 通関完了
いずれの場合も、税関監督は引渡し開始から通関完了まで、または通関開始から引渡し完了まで継続されます。
🔹 実務での留意点

- 外国事業者の「指示」の書面証明が重要
- 契約書・決済証憑・税関書類の整合性が不可欠
- 保税区取引か否かの判定に注意
これらを守ることで、VAT 0%税率の適用や還付手続の土台が築かれます。
次章では、VAT 0%税率と還付の新条件について詳しく解説します。